禁断の冷凍庫に手をかけ、冷凍グラタンを取り出した。
グラタンを食べたい衝動にかられ、冷凍グラタンを購入し冷凍庫に寝かすこと一週間、ついに私は冷凍グラタンを食すことを決意した。
冷凍グラタンは無数に販売されているが、パッケージと中身の乖離が大きいようなのは気のせいだろうか?私が購入したグラタンは一皿と思っていたが開けてみると二皿入っていた。一皿が薄いのは、温めムラをなくすためか、飢えた野獣にはオーブントースターの前で長らく温め待ちになることを憐れんだ情けからだろうか。
10分トースターで温めた。
喜びで手に取ったグラタンは冷たかった。
「?」
まさかまさか、こんな時に限ってオーブンレンジが故障したのではあるまいな。
普段私の家では電子レンジでの調理を出来る限りしない方針であり、オーブンでケーキなどをやくのも年に片手で数える程度だ。使用頻度が極端に少なすぎるのも故障につながるなんてことはあるのだろうか。
不安で、というより空腹によりグラタンを持つ手が震える。
冷静に考える。電子レンジはワット数、オーブンは温度を調整できる。トースター機能もそうなんじゃないの?
予感は当たり、トーストの枚数というボタンから温める強さを調節できた。なぜか温める強さは最弱になっていた。けしからん設定だ。
最強になるよう設定し、再びトースターで10分温めた。
今度はきつね色の焦げ目が出来ている。温めは成功である。
早速グラタンを食べる。ぱく。おいしい。ぱくぱくぱく。おいしい。エビとチーズの組み合わせは無敵だ。
一瞬のうちにグラタンは胃の中へ。
冷凍グラタンは人々にとってどういう立ち位置なのだろう。夜ごはんにはボリュームが圧倒的に足りていない。昼ご飯にしてもあまりにもあっけなく、朝ご飯にはちと思い。
カレーは飲み物という言われ方を時折耳にするが、グラタンだって飲み物なんじゃなかろうか。昼ご飯を食べたあとにたしなむ、そんな立ち位置。
手作りのグラタンだとジャガイモが入っていたりマカロニがたくさん入っていたりと食べ応えがありそう。立派な昼ご飯の戦力になりえるだろう。
お腹いっぱいグラタンを食べたい、という夢がひとつできた。
手始めにグラタン皿でもかってこようかな。(いつになるやら)
おしまい。